一番近くの君へ。
…次の朝。
ドアを開けても、エレベーターに乗ってもそこに孝ちゃんの姿はなかった。
…当たり前、だよね。
はぁ、とため息をついて学校に向かっていたら、とんっと後ろから肩を叩かれた。
わかりやすいあたしはぱぁっとそれだけで嬉しい。
「孝ちゃ、…」
だけど、そこにあったのは孝ちゃんの姿じゃなくて。
「坂下、くん?」
八重歯が印象的な同じクラスの坂下くんだった。
めったに話したりしないのに、いきなりどうして、?
そう不安を覚えるあたしをよそに坂下くんはにっと笑顔を見せた。
坂下くんはやんちゃで、気さくだし、イケメンで結構、女の子から人気がある。
だからますます意味がわからない。