一番近くの君へ。
「…何してんの?」
低くて、聞き覚えのある声。
振り返ったあたしは、きっと泣きそうな顔をしていただろう。
「…孝ちゃん。」
孝ちゃんは恐い顔をして坂下くんを睨んでいる。
「…確か、中川孝太だっけ?」
坂下くんはあたしの手を離さないまま、孝ちゃんにそう言う。
孝ちゃんはずんずんあたしの前まで歩いてきて、坂下くんから奪うようにぐっとあたしの手を引く。
「…悪いけど俺、コイツのこと好きなんだよね。」
クスッと笑みを浮かべる孝ちゃん。
あたしは顔が熱くなるのが自分でもわかった。
…恥ずかしい。
嬉しいけど…好きなんだよねって…
すっごく嬉しくて心臓が爆発しちゃいそう。