一番近くの君へ。
「二人は、付き合ってるの?」
坂下くんは唖然としながらあたしと孝ちゃんを見る。
「…」
あたしはなんて言ったらいいのかわからなかった。
正直、あたし彼女っていう自信がない。
胸を張って孝ちゃんの彼女って言うのが恥ずかしい。
だってさ、あたしは水沢さんみたいに美人じゃないし。
キュッと唇を噛み締めると、孝ちゃんの手にぎゅっと力が込められた。
「ああ。付き合ってるよ。」
そう言ったのは紛れもない孝ちゃんで。
「…そっか。…花ちゃん、俺、手なんか握ってごめんね?」
"知らなくて"そう言った坂下くんにあたしは首を横に振る。
「…じゃ、行くね。」
坂下くんはあたしにそう言うと背を向けて歩き出してしまった。