一番近くの君へ。



「大丈夫だよ。俺、彼女できたし。」



「え?誰?」



あたしがそう聞くと坂下くんは誇らしげに笑った。



「水沢梨華。…美人だろ?」



あはは、それはお気の毒に。



「お前かわいそうなやつだな。」



「え?中川、何言っちゃってんの?」



「なんでもねー。」



羨ましいんだろ?と笑う坂下くんにあたしと孝ちゃんは苦笑い。



そのままルンルン気分で"遅刻するからさき行くわ"と行ってしまった。



「お気の毒なやつ。」



孝ちゃんが坂下くんの小さくなる後ろ姿を見て笑った。



「孝ちゃんだって水沢さん美人だと思ってるくせにー。」



「やだね。あんな性悪女。タイプじゃないんだよ。」



「じゃああたしはタイプなの?」



「お前なぁ…」





< 198 / 202 >

この作品をシェア

pagetop