一番近くの君へ。
孝ちゃんの顔をのぞき込むとパッと目線をそらされた。
「あー、またそらした!」
「うるさい。」
「孝ちゃんってあたしみたいなのがタイプ?」
からかうようにそう言う。
「…悪いかよ。」
だけど、意外な答えが返ってきてあたしは顔が熱くなる。
ほら、もっと"バカやろう"とかそんな答えが返ってくると思ってたから…
「その顔は反則。」
そう言った孝ちゃんはあたしの顎をクィっと持ち上げて触れるだけのキスをする。
「こ、孝ちゃん!!」
「隙ありすぎなんだよ。」
ため息をついてまた歩き出した孝ちゃん…
あたしは小走りで孝ちゃんの背中を追いかけた。