一番近くの君へ。



「あたし…行かなきゃ。」



「西藤先輩とのデート?」



孝ちゃんはフンっと鼻で笑う。



「そうだよ。」



「あんなヤツの何がいいって?」



涙も言葉も全部全部爆発した気分。



「何って、西藤せんぱいは孝ちゃんみたいにあたしに意地悪しないし、孝ちゃんみたいに──…」



瞬間、両腕をつかまれて壁に押し付けられて、



そしてまるで口封じするかのようにあたしの唇に柔らかい何かが触れる。



…これは、な、に?



孝ちゃんとあたし…キスしたの?



スッと孝ちゃんの顔が離れてく。



また涙が頬をつたう。






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