きみコレ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−枢烏君も部屋に戻っちゃうしお金ないし…どうしよ。

でも暇だなーお腹すいたし。ご飯買うお金もないよー。



「…っと言うわけで来ました!」
「帰りなさい。」


「酷いよお兄ちゃん!!」

「誰がお兄ちゃんですか誰が。」


穏やかな口調で中性的な顔の、ちょっと腹黒い年齢不詳の103号室の白石 夜戸(シライシ ヤコ)さん。艶のある黒髪に物腰柔らかい、このアパートの衛生管理人。美人で綺麗好きでご飯が美味しくてご飯が美味しくて!素敵な「おだてても何も出ませんよ。」

「…とてもケチです」

「そのケチの家にいるのは嫌でしょう?さぁ帰りなさい。」

「嫌ですよぅ!何で今日はそんな冷たいんですか!いつもはおいでって言ってくれるのに!」

〆切りが近いんですよぉ!!と、机を音を立てて叩く白石さん。よく見ると目が充血している。この時の白石さんはヤバい。

「へ、へぇ…そうですか、それでは失礼し…」

「朝霧(アサギリ)さん、待って下さい」

「えー…私アルバイト探しを…」

「朝霧さん、原稿が書き終えりません」

「頑張って下さ「朝霧さんが前、家賃が払えないと泣きながら縋って来た時、私が払いましたよね…?」

「……」

白石さんは恋愛小説を手掛けていて、この前は映画化にもなった。いつもは「ネタが無い!」という理由で〆切り間近になっているのだが、今回は違うらしい

「友人の仕事を手伝いましてね」

この人は真面目だなぁ、と考えていた2秒前の私を呪いたい

「では、宜しくお願いします」

いつの間にか左手を掴まれ紙まみれの部屋に連れ込まれそうになる。

手を振って離れようとするが、逆にしっかりホールドされてしまった。この細い腕のどこにこんな力があるんだ!!早くぬけないとヤバい、本能が逃げろと言っている!!!

「離し「三食プレゼント。今ならデザート付き」引き受けましょう」

ではお願いします、といつもの爽やかスマイルを向けられた。

「それと、これを105号室へ届けてくれませんか?ベッドで待ち伏せで。」

「今ですか?てかそれ不法侵入…」

「大福が付いてきます」

「行きましょう」


【利用される今日この頃】
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