きみコレ

あんまんを頬張りながら帰ると103号室…つまり私の部屋の前に2つの影。私に気付いたのかこちらに向かって大きく手を振る男と腕を組んでいる男

「2人共何してるの?」

「兄ちゃんとね、朝霧に会いたいねーって話してたんだー」

「んなぁ?!!俺はそんな事言ってねぇからな!!」

言ってたじゃーんと言う茶髪の子、高杉 氷(タカスギ ヒョウ)君に剥きになって言い返す栗色の髪の子、氷君の双子の兄の高杉 興(タカスギ キョウ)君。そっくり顔だな、うん。部屋に入っていいかな?荷物重い

「朝霧、職見つかったー?」

「いや、残念ながら!」

「やっぱりな」

「やっぱりとは何だ!ブーツの中に砂詰めるぞ!!」

「うぎゃ、やめろ!!」

氷君は美大生で、冬児さんが悩んでいる種。布団に勝手に入る脱ぎ癖のある子がこの子だ。
興君は音大生で、ライブで活躍中だがよくナンパする。難癖のある双子だが、美形だから許される特権なのだろう。
氷君の、のほほんとした笑顔に興君の澄まし顔。うん、最強だ。
というか、このアパートの住民は皆美形でオーラがある。まさかの逆ハー状態。普通でごめん、職なしですまん。

「俺卒業したら画家になるから俺専属のモデルになってよー!」

「ばっ、てめぇ!ずるいぞっ!」

「あーはいはい、2人共私が好きなんだねームフフ」
「ちげーよ!!勘違いすんなバーカ!」

「興君は素直じゃないなー!」

「そうだよ兄ちゃん」

「だぁー!!もう黙れ!」

真っ赤になって全く!可愛い奴だな!てか部屋に入っていいかな。指ちぎれる2分前
「あっ!!兄ちゃん時間!!」

「うおっ本当だ!」

「何かあるのー?」

「うん!俺は絵で兄ちゃんは音楽で朝ぎ…「言うな馬鹿弟!!」

あー、ごめんよーと言っていそいそと階段を降りて自転車に跨がり何処かに行ってしまった。

「…?て、うわぁ指紫だ」

指を見ながら朝霧は部屋に入っていったのだが…

「…ん?う?あれー?」







「あ、兄ちゃん兄ちゃん」

「なんだよ」

「朝霧の食べかけあんまん」

「よっ、よこせコノヤロー!!」



「あんまん消えたー!」


【あんまん消えた今日この頃】
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