あの夏の日の空に願う




「………ワケあり?」

「いや、そういうんじゃないんですが……………いや、ワケありなのかな…?」




首を傾げる小鳥遊 天空さんに、私も首を傾げて唸り声を上げた。


こういう場合の対処法なんて当たり前だけど習ってない。
どうしたらいいんだろうか。



まさか正直に話す訳にもいかないし、話したら話したで意味不明だと思う。


だって初対面の人に、

“今の私は本当の私じゃなくて、本当は2日前に死んでて、今はこの世で笑うために私じゃない姿でこの場所に降りてきました”

とか言ったらどうなるかなんて目に見えている。


引かれるに違いない。




じゃあどうしようどう言おうどうすれば自然!?と考えること、約3秒。


結局私は「ワケありです」と答えた。





「実は私、両親死んじゃって、親戚もいなくて、お金もなくて……どうしたらいいか分からないんです」




………なんてよくもまぁこんなつらつらと、口から出任せを並べられたものだと思う。

自分で自分に呆れる、と思ったらこの話は、病室で見た昼ドラの内容だ。






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