あの夏の日の空に願う




やがて辿り着いたのは、街全体が見渡せそうな、大きなタワーマンションだった。




「ここの23階。高所恐怖症だったりしない?」

「あ、それは大丈夫です……」



………それにしても大きい。



何階建てなんだろう。
っていうか23階って地上何m?


という無駄なことを考えて立ち止まる私の手を、依然引き続けている小鳥遊 天空さん。



チラッと目に入った腕時計は、6:02を示している。




私たちはいつの間にかマンションのエントランスを通り抜けていて、小鳥遊 天空さんに連れられるままにエレベーターに乗り込んだ。


それから数秒後。

♪~♪~

エレベーターから突如歌が流れ出し、ガタンと音を立ててそれはとまった。




チーン、とかじゃないんだね…

少し驚きながら、エレベーターを出る。




出てすぐ“23”という表示があり、その後ドアの前を4枚ほど通り過ぎて見付けた、“TAKANASHI”という表札。

そのプレートの上には、“2305”と書かれている。



小鳥遊 天空さんの部屋は、どうやら2305室らしい。




というか、何でドアまでこんなに豪華なんだろうか。
これじゃ大きすぎやしないか、と疑問が浮かぶも、小鳥遊 天空さんは特に気にする様子もなくドアを潜り抜けた。



問題はないそうだ。

…っていうか慣れ?




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