あの夏の日の空に願う
一日目
出会い
蝉の声が、辺りに木霊しては消えていく。
8月の終わり。
見上げる空は仄暗く、太陽と月が一緒に顔を出している。
明け方独特の雰囲気。風は昼間よりも涼しくて。
夏も終わりに近付いてきているのか、生温い空気が頬を撫でる。
そんな中を、私は1人、ゆっくりと歩を進めていた。
世界にたった1人で取り残されたような感覚に身震いしながら、行くあてもなくただ彷徨う。
風に揺れる自分の髪は、見慣れない灰色のストレート。
ふと足を止めて見下ろした川に映るのは、知らない自分。
私でさえも、私を置いて行ってしまったかのように感じてしまう自分が怖くなる。