あの夏の日の空に願う
人工的に作られたその川は風に吹かれて波打ち、私の姿を朧に映す。
消えかけては現れ、を繰り返すそれはどこか儚い。
私はしかめっ面をする自分に気が付いて、無理矢理笑顔を作ろうとした。
だって、私がこの世に戻ってきたのは、もう一度ここで笑うため。
生まれてからずっと病院で、笑いも怒りもせずただ苦しんでいたあの日々を、少しでも取り戻すためなんだから。
------そう思うのに、
頬の筋肉が発達していないせいなのか何なのか、口角は一瞬上がっても、すぐに下がってしまう。
笑えない。作り笑顔さえも、作れない。