あの夏の日の空に願う
「はぁ……………」
今は“私”じゃないから、少しは笑えると思ったんだけどな…
どうやら人が変わっても、笑い方を覚えていない私に笑うことは出来ないらしい。
思わず口をついて出る溜息。
これじゃあ、この世に戻ってきた意味がないじゃないか。
薄っすらと青味がかってきた空を仰ぎながら、そんなことを思う。
それにしても、蝉が騒がしい。
あんなに力一杯鳴いて、蝉だって今の私と同じ、一週間しか生きられないというのに。