夢と恋と王子様



「あの、先輩」


「ん?」


「迷っちゃったんです、また」


「え…?」



一瞬驚いた顔をした。

当たり前だろう、
また迷って再び
この場所までたどり着いたのだから。


すると藤岡先輩は
綺麗すぎる笑顔で笑った。


恥ずかしかった。


でも


先輩の笑顔を見れた。

それだけで
一つ私の中に
先輩の事が刻まれて


嬉しくて
嬉しくて。



「そっか、でも
 チャイム鳴っちゃうね」


そう言葉にした瞬間
チャイムが校内に
響き渡った。


「うそっ!!授業!!」


「あはは」


呑気に笑う先輩は
図書室の扉を開けた。


すると私を見て


「入る?」


なんて言うから



思わず頷いた。


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