夢と恋と王子様
空に咲く花
しばらくの間
テストだったり
学校行事だったりで
あの図書室へは
行く時間がなかった。
いつの間にか
夏休みの前日、終業式になっていた。
生温い風が
教室の窓から私に吹き付けてきた。
それは放課後の事。
「あたし今日バイトだから
もう帰ろっかなー。
恵梨香は?」
「うーん、まだここにいる。
バイト頑張ってー」
麻衣子は手をひらひらとさせ
髪をなびかせながら
教室を出て行った。
一人になった教室
沈み初めた太陽を
窓際の席から眺めていた。
学校から下校する生徒の数も
だんだんいなくなってくると
静かな時間だけが過ぎて行った。