夢と恋と王子様
「藤岡君と仲良いの?」
あぁ、やっぱりと思った。
相変わらずのニコニコした
笑顔のまま、少し下がった
声のトーンで私に問い掛けた。
「どうやって近づいたの」
ただのひがみにしか
聞こえないのは私だけだろうか
「近づいたってわけじゃ…
たまたま知り合っただけです」
「………へぇ。」
甘ったるい彼女の香水の香りが
気分を悪くさせる。
まさか
平凡に生きてた私の人生を
彼女がひっくり返してしまうなんて
彼女自身も、私も
誰も知らない。
「仲良くするとか
いい度胸してんね」
笑顔のまま
私を残してその場から
彼女は立ち去った。
「なんなの…」