夢と恋と王子様
「付き合っちゃえばいいのに」
麻衣子の呟きは
右から左へと聞き流していた。
ルンルン気分の私は
先輩と予定を決めて
冬休みに逢う約束をした。
好きな人と
どのくらい逢っていなかっただろうか
久しぶりすぎるドキドキに
勝手に顔が熱くなってきた。
「恵梨」
先輩と逢う日、花火大会の時と
同じ地元の駅で待っていた。
私の名前を呼ぶその声に
先輩の姿を探した。
「先輩!!」
「久しぶり」
相変わらずの王子様スマイルで
私の方へ歩み寄ってきた。
まるで
夢をみているような気分だった。