夢と恋と王子様



「付き合っちゃえばいいのに」


麻衣子の呟きは
右から左へと聞き流していた。

ルンルン気分の私は
先輩と予定を決めて
冬休みに逢う約束をした。



好きな人と
どのくらい逢っていなかっただろうか

久しぶりすぎるドキドキに
勝手に顔が熱くなってきた。



「恵梨」



先輩と逢う日、花火大会の時と
同じ地元の駅で待っていた。

私の名前を呼ぶその声に
先輩の姿を探した。




「先輩!!」


「久しぶり」



相変わらずの王子様スマイルで
私の方へ歩み寄ってきた。


まるで
夢をみているような気分だった。


< 35 / 84 >

この作品をシェア

pagetop