夢と恋と王子様
カフェを後にして外に出ると
チラチラと雪が降りはじめた。
「恵梨、寒くない?」
「んー、寒いです」
「だよね」
そう言うと先輩は私の手を握って
何も無かったかのように
平然と歩きだした。
「先輩?」
「ん?」
「別に、人込みじゃないから…
はぐれたりしませんよ?」
「あー、いや。
手繋いでた方が暖かいし」
握った手を更に強く握りしめた先輩。
距離がいつもより近くて
周りから見たら普通のカップルだろう。
「先輩っ、…あたし……
は、恥ずかしいんですけど」
「え?」
「恥ずかしいんです。
こうゆうの、慣れてなくて」
「……あぁ、俺も。」
「…えっ?」
「俺も、慣れてない。
手繋ぎたいとか思ったの
初めてだし………」