夢と恋と王子様
さよなら図書室
高校2年生になった私は
新しい教室に足を踏み入れた。
クラスは3年間同じため
教室には麻衣子の姿もあった。
懐かしい
1年前にも感じた
春の風
古ぼけた廊下を歩いて
きしむ音をたてながら
あの図書室の扉を開けた。
「おはようございます、先輩」
「おはよ」
いつもの先輩の笑顔があった。
「なんか久しぶりじゃない?」
「んー、そうですね。」
「なんかさ、三宅の方が
よく来るんだよね。」
「そう、ですか」
「だから恵梨、
来なくなっちゃったの?」
「…………、いや。
違いますよ」
精一杯の笑顔を向けて答えた。