夢と恋と王子様



三宅琴乃は相変わらず
あの図書室へ足を
踏み入れているのだろうか。


考え込む毎日を送っていたとある夜


寝ようと布団に入り込むと
枕元に置いていた携帯が音をたてた。



心臓が飛び跳ねるかと思った。


《藤岡勇志》

とディスプレイに表示された瞬間
少しばかり手が震えていた。





《明日の放課後、
 見せたい物があるから
 最後に図書室来てくれない?》



どんな期待を抱いていいのか
なかなか喜べないでいた。


やっぱり図書室は
最後なんだな、なんて勝手に
悲しんでみたりした。



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