夢と恋と王子様



「麻衣子…やっぱり
 王子様は遠すぎる。」



それでも
もう一度逢いたいと願った。


強く強く


願った。




そしてある日

また春の風が私に吹きかけた。


暖かくて心地の良い

あの時

王子様に出会った時と同じ


春の風






「迷っちゃったー!!」




私は
また校舎内で迷っていた。



「次の授業遅れちゃう」




昼休み先生に呼ばれ
職員室に向かう途中



また

私は迷っていた。




「もう何なのよー。
 麻衣子に一緒に
 来てもらえば良かったぁ…」



だんだん人のいない
寂しく静かな校舎へと
足を進めていた。




「ここ……」





そしてたどり着いたのは


あの場所だった。



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