夢と恋と王子様



逢えるかなんて分からない。

ただまたこの場所へ来れたのは

何かの奇跡であって
きっと何かがあるかもしれなくて



私は時間も迷子であることも忘れ


孤立したその校舎を
ゆっくり歩いてみた。



使われていなそうな空き教室
少しほこりっぽい廊下


突き当たりに
古ぼけた図書室があった。



「あれ?ちゃんと
 綺麗な図書室
 他の校舎にあったような…」



閉ざされた図書室の扉に
手をとろうとした。



「一年生?」



後ろから
聞いた事のある

優しい声がした。




「あ、この前迷ってた子」


「覚えてるんですか?」



振り向けば

やっぱり



王子様がいた。



もう一度だけでもいいから
逢えたらと願った


王子様


藤岡先輩



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