龍とわたしと裏庭で【初期版】

「志鶴」

ふいに圭吾さんの表情が硬くなった。


なあに?


「後で母から正式な話がある」


正式?


キョトンとしていると、

「志鶴を嫁にほしいと話してある――待った。今すぐという話じゃないんだ。三田の叔父さんが帰ってきてからでいい」

「で……でも圭吾さん?」

「OKの返事ならすぐほしいが、断るつもりなら、叔父さんが帰ってくるまでの3年間保留にしてもらいたい」

「なぜ?」

「3年あれば志鶴を振り向かせることができるかもしれないから。今は兄貴にすぎなくてもね」


困った


完全に退路を断たれたぁ


< 20 / 48 >

この作品をシェア

pagetop