龍とわたしと裏庭で【初期版】
3
たくさんの龍がいる。
海の底のお城で、王様の回りを取り囲むように。
王様は顔を覆って泣いていた。
ママが死んだ日の親父のように。
泣かないで
わたしが側にいてあげるから
差し延べた手に顔を上げた王様の顔は圭吾さんに似ていた。
はっと目が覚めた
夢を見ていたんだ
暗闇に目が慣れてくると、自分の部屋じゃない事に気づいた。
圭吾さんの部屋の一室だ。
見慣れたソファ
ベッドにできるようになってたんだ。
でも、どうしてここにいるんだろう?
枕元に置いてあった金魚のぬいぐるみを抱きしめた。
死なない金魚
――圭吾さんがわたしにくれた約束
ずっと一緒にいようという約束
わたしはこれにどう応える気?
カーテンのすき間から差し込む月の光に誘われ、わたしは外へ出た。
テラス窓を開け
螺旋階段を降り
龍たちのいない夜の裏庭に