赤い狼 ~棗の想い~
―――その光景を見た瞬間…
俺の頭が真っ白になり、
――プツンッ――
何かが切れた。
「…てめぇ、ぃぃ度胸してんじゃねぇか。」
低い声を出してゆっくりとヤロー共に近付く。
…自分でも驚いた。
こんなにも低い声が出た事が。
普通に喋ったつもりだったのに。
そして、驚いた事がもう一つ。
俺がキレた原因が稚春に関連しているという事。
…何でこんなにムカつくんだ?
只、稚春が耳を舐められただけだろ。
なのに何で…
こんなにも腹が立つんだ。