赤い狼 ~棗の想い~






―――その光景を見た瞬間…



俺の頭が真っ白になり、





――プツンッ――





何かが切れた。






「…てめぇ、ぃぃ度胸してんじゃねぇか。」




低い声を出してゆっくりとヤロー共に近付く。



…自分でも驚いた。



こんなにも低い声が出た事が。

普通に喋ったつもりだったのに。




そして、驚いた事がもう一つ。


俺がキレた原因が稚春に関連しているという事。




…何でこんなにムカつくんだ?



只、稚春が耳を舐められただけだろ。




なのに何で…






こんなにも腹が立つんだ。






< 56 / 71 >

この作品をシェア

pagetop