赤い狼 ~棗の想い~
ヤロー共に向けていた視線を稚春に移す。
「み、みみみみみ耳舐められた!」
稚春は耳を手で押さえてギャーギャーわめいていた。
…元気だな、おい。
ったく、稚春のせいでこんなにムシャクシャしてんのによ。
フッと小さく笑う。
…稚春のせいにしちゃぁいけねぇか。
自分が勝手に怒ってるもんだしな。
「稚春、俺が来いって言ったらこっちに向かって走ってこい。」
「は、はいっ!」
おい、何だその手は。警察か。
また小さく笑って敬礼している稚春を見る。