赤い狼 ~棗の想い~
すると、稚春はビクッと肩を震わせた。
……あ゙ー。そうか。
俺が普段と違うからビビッてんのか。
前髪を掻き上げながら納得する。
でも、今は稚春を気遣ってられる程、冷静じゃねぇんだ。
無性に腹が立って、指をボキボキと鳴らす。
あ゙ー、腹立つ。
苛々する。
…何だ、結構俺、キテんな。
ヤロー共まであと三メートルの処まで来て、足を止める。
「やんのか、ごらぁ゙!」
目の前に居る男が俺を睨み付けて声を張り上げる。