赤い狼 ~棗の想い~
「クソッ!よくも俺のダチをやってくれたなぁ!」
煩く叫ぶ目の前の男を見て、殺気が沸く。
…こいつが稚春に手ぇ出した奴か。
ぃぃじゃねぇか。やってやろうじゃん。
飛び蹴りをかましてくる男を屈んで避け、右足で男の足を引っ掛ける。
それによって男がバランスを崩した背後に回って頭に一発、回し蹴りを掛ける。
そして、倒れたその男の上に乗り、頭を掴み、床に叩きつける。
それによって酷い音がする。
もう一度、もう一度。
何度も床にそいつの顔を床に叩きつける。
ガンガンガンガン、ガンガンガンガン…
「…棗!もう止めて…!それ以上したらその人死んじゃうっ!」
ピタッ。
稚春の声によって俺の手が止まる。