赤い狼 ～棗の想い～
「それを恋って言うんだよ？」
「うわっ!?」
いきなり視界に入ってきた人物を見て思わずでけぇ声が出た。
…………
「って、舞(まい)か。どうした？」
いきなり視界に入ってきた人物の正体が分かってﾎｯと胸を撫で下ろす。
「なんか棗兄ちゃんがﾌﾞﾂﾌﾞﾂ言ってたから気になったの。」
そう言いながらあぐらをかいている俺の上に座ってくる舞。
舞は俺の妹だ。
目がｸﾘｸﾘしてて可愛ぃ。
少し稚春に似てるかな。
…上目遣いが上手な処が。
でも、二人共わざとやってるんじゃないと思う。
あれが自然なんだろうな。
…まぁ稚春は時々、銀に教えてもらった男をイチコロにするテクをしてきたりするが。
…つぅーか、稚春に変な事吹き込むなって銀に言っとかねぇとな。
いつも俺にだけ、実験台にならせやがって。
全くだ。
頭をｶﾞｼｶﾞｼと掻く。
