青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「その不良二人の名前は――もう分かっているな?」
それまで語り部になっていた男は、流し目で相手を見やる。
「んー。もちろんっ、ああああっ! 崩れた!」
生返事ばかり繰り返していた相方は、崩れてしまったトランプタワーに深いため息つく。
「あと少しで完成だったのにな」
悲しそうにトランプを掻き集める相方だったが、己の方を一瞥するや冷たく微笑んだ。
「五十嵐を討ち取った不良二人ってのは、荒川庸一に日賀野大和、だろ? さすがにぼくでも、名前くらい知っているよ。ふふふっ、五十嵐から地位を分捕ったことで、のうのうと毎日を過ごしているんだろうねえ。気に喰わないなぁ」
「気に喰わない、か」
「ああ、気に喰わないよ。だって彼らは不良だからね」
不良という単語を聞くだけで虫唾が湧く。
相方は小さく笑声を漏らすと、散らばったトランプの中から、お気に入りの一枚を手に取って端を口に銜えた。
「不良なんて邪魔なだけ。だから綺麗さっぱりに掃除しなきゃね。荒川も、日賀野も、不良とつるむ奴らは全部さ」
銜えたトランプの柄――スペードのキングは妖しく、そして何かを予感するように沈黙を貫き通していた。
to be continued...