青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「ケイ、テメェ幾つ兄弟の肩書き持つつもりだ?
俺の知る限り、テメェは三つは持ってるぞ。
まず俺との舎兄弟だろ。次にシズと俺を含めた田山三兄弟だろ。あ、こりゃ俺等が初めてケイの家に泊まった時についた兄弟名な。で、このワル三兄弟。肩書き有り過ぎだろ」
「今挙げた兄弟の肩書き、ヨウも全部入ってるじゃんかよ。おあいこだって。それにヨウ、舎兄弟じゃないけど、モトがいるじゃん」
とはいえ、俺もそうか。
手札から目を外して俺は“ケモハン”をしている新入生二人組を見つめる。
ヨウに弟分がいるように、俺にも弟分がいる。
おかげさまで俺は四つ目の肩書きを持ってるんだけど…、
兄分とか不慣れな称号を持ってるんだけど…、
その兄分としてちょい気掛かりがあるんだ。
なんっつーか、最近キヨタの様子がおかしいんだよな。
パッと見変わった様子は無いんだけど、時折纏う空気が変わるというか、愁い帯びるというか。
いつものハイテンションパワーにふっと陰りが差すんだ。
向こうは気付かれないだろうと高を括っているけど、俺には無敵にバッチシ分かってるんだからな。
これでも空気を読んで地味に16年生きてきた男、ノットKY圭太なんだから。
実を言うと最近おかしいと思う少し前から、違和感は感じていたんだ。
いつ頃だったかな、キヨタの空気が変わったって思うようになったのは。
キヨタ達が進学するちょい前から、なんとなく感じていたような気がするようなしないような。
最初は気のせいだと思ったんだけど、気のせいじゃないんだって思うようになったのは極最近。
考えている素振りを見掛けるようになった気がする。
例えて言うならば、1年の時のハジメのような、自分ワールドに浸ってしんみりしているところを見掛けるんだ。
溜息をついて自分の世界に浸るところがチラチラ。
普段は能天気に空気を盛り上げたりする奴なんだけどさ。
俺を過度に慕ってくる奴だから、尚更心配になっちまうんだよな。キヨタの様子に。