青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「あ、もしかして俺っちを呼んでましたか? ケイさん」
視線に気付いたのか、液晶画面から視線を外してキヨタがニッコニコ顔で俺を見てくる。
ゲッ、そんなにキヨタをジトーッと俺は見ていたのか?
傍から見たら結構きもいだろ。
なあにしてるんだか。
俺は誤魔化すように、「お前に苦労掛けると思ってさ」と話題を切り出す。
「俺、超悪い噂が立っちまったから、弟分のキヨタに何かと苦労掛けちまいそうで。クラスの奴は知ってるのか? お前が俺の弟分だってこと」
「もちっすよ! なんたって自己紹介タイムで、ケイさんの名前を出しましたもん! 俺っちはケイさんの弟分っす! って」
……わぁお、お前、自分から周囲と壁を作りそうな発言を。
高校生活が楽しくなるかどうかは始めの1ヶ月で決まるってのに!
ちなみにお前、どういう風に俺の名前を出してくれたんだ?
お前が話す俺はすこぶる美化圭太にしてそうで怖いぞ。
「モトも出したんだよな、ヨウさんの名前」
得意気に話題を親友に振るキヨタ。
モトも液晶画面から視線を逸らして、あたぼうだと指を鳴らす。
「ヨウさんの名前を学年に轟かせるためにも、弟分として自己紹介タイムで話すのは当然だろ。ヨウさんの容姿・性格・リーダーシップ、何を取っても男前でイケメン。男女のハートを射止めてしまうヨウさん。
そんな、そんな、ヨウさんの弟分になれたのはオレの誇り。
だからオレは、弟分として! 弟分として!」
「……、ははっ、俺も、テメェを弟分にして良かったと思う今日この頃だぜ」
ヨウ、台詞に無感なのはなしてでしょうか?
いや、なんとなくヨウの気持ちは分かるけどさ。
失笑を零していると、「あの…ケイさん」畏まった声音でキヨタが俺を見つめてくる。
瞬きをする俺が軽く驚いたのはこの直後。
だってキヨタの奴、超真顔で皆に弟分って言っても良かったですか? って、俺に聞いてくるんだぜ。
そりゃあ驚く。
ぱちぱち。
ぱちぱち。
何度も瞬きをする俺はジッと見据えてくるキヨタに「馬鹿だな」微苦笑を向けて、返答。