青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「えー。そんなのツマンなくない?」
ワタルさんはぶう垂れた。
ちょっとワタルさん、ワタルさん、異議ありです。
ツマンナイってナンですか?
俺のワルデビューを面白おかし話にしようとしてるんですか!
てか、デビューなんてしない、しないんだからな!
それにこう言ってくれるヨウだって俺の性格、十二分に分かってる筈だ。
だから髪染めなんてしないとか言ってくれるんだよな?
いやぁ、お前も成長してくれたよな。
一年程前はちっとも俺の気持ち、察してくれなかったお馬鹿ちんで「髪染めなしでワルデビューさせる」
………。
兄貴、ワッツ? 今、なんっつった?
絶句する俺に、キャツはイケメンスマイルを向けてきた。
「前にも言ったよな。外貌そのままで、テメェをちょいワルにさせる手があるって。まかせろケイ、ちゃーんと考えてるんだ俺」
せ、せ、成長してねぇっ!
俺の気持ちっ、全然察してくれてねぇよ、こいつ。
やっぱお前はお前だっ、思いつき行動大好きな我等がリーダーだよ!
青褪める俺だけど、「見返してやろうぜ」ヨウが意味深に言葉を吐いてきた。
俺は目を点。
見返すって誰に見返すんだよ。
このナリでダッサイ言う奴、ゴマンといるんだけど。
一方で舎兄はちょいと腹立たしそうに自分の手札を扇子代わりにして、自分側に風を生み出す。
「テメェに目ぇ付けてる前橋を見返してやるんだよ。中途半端っつったあいつをな」
テメェが少しでもワルになればもう、口出すこともねぇだろ?
「だから任せろ」
ヨウのいつにない真剣な眼に、「え。お、おう」俺の方が意表を突かれたのだった。