青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
ただしヨウ自身は「ツマンネェ潔癖な家」だそうな。
言われてみれば、あんま生活感を感じない。
綺麗だけど物が少なくて殺風景。
ひんやりと冷たく殺伐とした空気が漂っている。
まるでヨウの家庭事情を教えてくれるように、その空気がギスギスしているのも否めない。
俺が初めて此処にお邪魔させてもらった時も、第一印象は「ちょっと物寂しいな」だった。
賑やかなことが大好きなヨウを知っているだけに、訪れた時は意外な一面を見た気分になった。
ヨウと仲の悪いご両親は共働きをしているらしく、昼間は家を空けている。
義姉のひとみさんも大学の後、バイトに直行しているみたいで家には誰もいなかった。
だから気兼ねなくお邪魔できる。
俺はヨウの部屋で重たい通学鞄を下ろし、「相変わらず何もない部屋だな」笑声を漏らしながら舎兄の部屋への感想を述べた。
ヨウの部屋もリビングと同じようにがらんとしている。
ベッドに机、コンポ、クローゼット…、必要最低限の物しかない。
部屋の主があんまり家に帰らないせいだろう。
「ほんとほんと」
俺の意見に賛同してくれるのはワタルさん。
ワルデビューをさせると意気込むヨウを面白がって、俺等と一緒について来たんだ。
ついでにハジメも一緒、彼女と喧嘩したからこっちに来たんだと思う。
なんだかちょいと不機嫌気味だ。
あーあーあー、毎度の事ながらあんた達もよくやるねぇ。
内心で呆れていると、「適当に座っててくれ」ちょい飲み物と用意してくるから、なんて言って舎兄は部屋を出て行く。
その際、「灰皿は机にあっから」と喫煙者達のために机を指差す。
喫煙者ってのは此処にいる野郎共全員だったりする。
とはいえ、ハジメはちょっとしか喫煙しないんだ。
あんま煙草は合わないらしい。どっちかっていうと俺の方が喫煙量が多い。
う゛うっ、ほんっと悪くなったよな俺も。初めて吸った当初は二度と吸うもんかって思ってたのに。
父ちゃん母ちゃん弟の浩介、ごめんよっ、息子(兄)はまた一つワルになってしまいました。
でもでもでもっ、人としての道は外さないからっ、カツアゲとか万引きとか絶対しないから!