青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「まあさ、僕ちん的には今のケイちゃーんの方がいいけどねぇ。砕けてる方が、気が楽じゃーん? 真面目とか超カタイ! 初対面のケイちゃーんもおカタカタ人物だったよねねねん!
しっかも僕ちゃーんのこと、怖がってくれてたっしょ? 不良だからって理由で」


「え゛? ま、まっさかぁー」


「ブッブー。嘘は駄目だよーん、ケイちゃーん」


怖がってたの、ちゃーんと分かってたんだから、ワタルさんにニンマリ笑われて俺、

「憶えてないです。はははっ」

思いっきし誤魔化し笑い。
はい、憶えてることモロバレー。
ワタルさんがゲッラゲラ笑ってくれるー。


……うそん、ばれてた? まじょで?


そ、そういやヨウにもばれてたよなっ、俺がガチで怖がっていたこと。

隠し通せている自信っ、あったんだけど…、やっぱワタルさんにもばれてたんだっ。


いやだってっ、不良と全然縁(ゆかり)がなかったんだもの。
そりゃあビビる田山になるって!


だけど冷静に考えてみると…、今、俺も周囲からビビられる立場になったから、なんとなく相手が自分をどう思ってるのか分かるよな。

必死に気持ちを隠しても、オーラで伝わっちまったのかも。
 

「あれ、ケイ。ワタルのことは怖がっていたっていうけど、僕のことは怖がってなかったよね? 僕も一応、ナリは不良なんだけど」


何処となく不満そうにハジメが己を指す。

うーん、だって初めて会ったのが袋叩きされてたあの事件だし。

改めて顔合わせした時だって、雰囲気的に「あ、こいつ弱そう」とか思っちゃったし。


そりゃあ不良で嫌だなっとは思ったけど、怖いとはあんま思わなかったかも。少なくとも他の不良よりは。


「わーるかったね、弱そうで。実際弱いですけど何か?」


眉根をつり上げてくるハジメに、「あ、お口に出してた?」ごめんごめん、本当のこと言っちゃって、俺はかるーく鼻で笑った。 

「馬鹿にしてるでしょ」ハジメの異議申し立てに、「俺と同じ匂いがしたんで」なんとなく怖くなかった、と当時の心情を吐露して一笑。

ハジメって家庭事情で元々優等生だから、俺と根が似てるんだよな。


だからなのか、怖さはそんなに感じなかったんだ。これまた不思議なことにさ。
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