青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


俺はまた一つ紫煙を吐き出して灰皿に灰を落とす。


「まあ、俺もですけど地味の大半は上辺真面目が多いですよ。教師にどやされるのが嫌だから、取り敢えず従順になっておこうって奴ばっか。俺もそうでしたしね。ハジメも、そんな感じだろ?」


「ご尤も。中には本当に真面目で正義感の強い奴もいたけど、僕はそんなダルイ感情持ってなかったから。
特に親が煩かったし、反発からこれに成り下がったわけですよはい。ワタルはあれでしょ? ノリでしょ?」


「んー、アキラが髪染めしてみたいって言ったから、便乗したカンジだっぴょーん」

 
元親友の実名を出して、ワタルさんはこれいった理由はないと白状。

各々なんだな、悪になる理由なんて。


「で?」なんでヨウちゃんは、あんなに燃えてるわけ? ワタルさんは俺にワルデビューの真実を問う。

傍から見ても力が入ってたように見えたらしい。

だよな、俺自身も驚いたもん。

「ちょっと担任に目を付けられて」

俺は苦笑を交えて、ゆっくりと煙草を吸った。先端がどんどん削れていく。
 

「噂が立ったことで、担任が俺に目を付けた。だからあいつ、俺の代わりに怒ってくれてるんだと思います。あいつ、誰よりも仲間意識高いから。
それに俺も悪いんですよ、ちっちゃなことで気にしていたから…、余計ヨウの奴、気に掛けてくれていて。まあ、どんなワルデビューさせてくれるかは不安ですけど」
 

ふーっ、吐き出す真っ白な紫煙が室内で溶け消えていく。

「なあるへそ」

だから燃えているわけか。そりゃ燃えるわけだ。

笑声を漏らすワタルさんは、オレンジの長髪をゴムで縛りながら言葉を続ける。


「ケイちゃーんがわりかしずーっと気にしてるから、ヨウちゃーんがとうとう動いたわけか。フッと消えそうだって思ったんだろうねんぴ」


ワタルさんが意味深に呟く。目を削いじまった。

なんで俺が消える?
教室で空気になることは得意でも、さすがに透明人間になる能力は持ち合わせていないんですけど。

取り敢えず、チームを抜ける予定もないし。

台詞の意味を尋ねれば、上手くは説明はできないんだけど、と縛った髪を触りながら説明を重ねた。



< 111 / 804 >

この作品をシェア

pagetop