青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
俺はまた一つ紫煙を吐き出して灰皿に灰を落とす。
「まあ、俺もですけど地味の大半は上辺真面目が多いですよ。教師にどやされるのが嫌だから、取り敢えず従順になっておこうって奴ばっか。俺もそうでしたしね。ハジメも、そんな感じだろ?」
「ご尤も。中には本当に真面目で正義感の強い奴もいたけど、僕はそんなダルイ感情持ってなかったから。
特に親が煩かったし、反発からこれに成り下がったわけですよはい。ワタルはあれでしょ? ノリでしょ?」
「んー、アキラが髪染めしてみたいって言ったから、便乗したカンジだっぴょーん」
元親友の実名を出して、ワタルさんはこれいった理由はないと白状。
各々なんだな、悪になる理由なんて。
「で?」なんでヨウちゃんは、あんなに燃えてるわけ? ワタルさんは俺にワルデビューの真実を問う。
傍から見ても力が入ってたように見えたらしい。
だよな、俺自身も驚いたもん。
「ちょっと担任に目を付けられて」
俺は苦笑を交えて、ゆっくりと煙草を吸った。先端がどんどん削れていく。
「噂が立ったことで、担任が俺に目を付けた。だからあいつ、俺の代わりに怒ってくれてるんだと思います。あいつ、誰よりも仲間意識高いから。
それに俺も悪いんですよ、ちっちゃなことで気にしていたから…、余計ヨウの奴、気に掛けてくれていて。まあ、どんなワルデビューさせてくれるかは不安ですけど」
ふーっ、吐き出す真っ白な紫煙が室内で溶け消えていく。
「なあるへそ」
だから燃えているわけか。そりゃ燃えるわけだ。
笑声を漏らすワタルさんは、オレンジの長髪をゴムで縛りながら言葉を続ける。
「ケイちゃーんがわりかしずーっと気にしてるから、ヨウちゃーんがとうとう動いたわけか。フッと消えそうだって思ったんだろうねんぴ」
ワタルさんが意味深に呟く。目を削いじまった。
なんで俺が消える?
教室で空気になることは得意でも、さすがに透明人間になる能力は持ち合わせていないんですけど。
取り敢えず、チームを抜ける予定もないし。
台詞の意味を尋ねれば、上手くは説明はできないんだけど、と縛った髪を触りながら説明を重ねた。