青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
お二人さん、調子ノリの俺がそんな期待に応えると思うか?
さすがに俺だって空気を読んで、
「兄貴っ、どうして喧嘩ばかりするの。俺、貴方のことを敬愛していたのにっ…、毎日まいにち舎弟のことも考えず喧嘩ばかり。
もういいわ、子供達を連れて実家に帰らせて頂きます!」
ノっちまうだろコノヤロウ!
調子ノリを舐めるなよ!
ノリノリでやっちまうぞ!
噴出しそうになるワタルさんとハジメを余所に、ポカン顔を作っていたヨウは「ふざけんな!」前触れもなしに怒声を上げてきた。
「毎日のように喧嘩してるのはな、舎弟のためだっていつも言ってるだろうが。ちったぁ舎兄の気持ち、分かったらどうだ?」
「でも喧嘩ばかりで舎弟を見てくれないじゃない! こんな思いするくらいなら…、ひ、日賀野の舎弟になった方がマシよ」
「あーん? 今、なんっつった? あろうことか、俺を差し置いてヤマトのところに行く? そうかそうか、んじゃあ、そう思わせないようにしてやるよ。今晩は覚悟しとけ」
「あ…兄貴怖い!」「誰がそうさせたよ」ギッと睨み合い、会話が途切れ、三秒くらい間。次いで爆笑二つ。
最後にヨウが「で?」これはナニごっこだと俺に聞いてくる。
よく状況も分かってないでノってくれたヨウ、マジスゲェー。
馬鹿なノリをかます俺と会話を合わす兄貴、超尊敬。
てか、ほんっとお前もノリ良くなったよな。
女子が見たら昇天しちまうくらい、残念なノリ具合だぞ。
折角のイケメン不良なのにな。
良かったな、此処にいるの、野郎達だけで。
ゲラゲラ笑ってくれるワタルさんとハジメは、やっぱり無二の相棒だと俺等を指差す。
寧ろお笑いコンビでも結成すればいいんじゃないかって笑声を上げてくれたけど、ンー、お笑い界に行くつもりは毛頭ないぞ。
お笑いの世界は超厳しいんだからな。
ノリとお笑いは別個のものなんだぜ!
「結局なんだったんだよ」ヨウの疑問に、「ちょいとした昼ドラの話さ」ハジメは微笑を向けて飲み物を提供してくれるよう手を差し出す。