青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
まるでお注射を怖がる子供に言い聞かせる口振りだけど、ま、待ち待ちまちっ!
俺っ、ピアスホールなんてっ、作る気、これっぽっちもっ!
こんなのしちまったら最後、風紀検査で毎度引っ掛かるじゃないかっ。
教師に呼び出されて生徒指導をっ…、無理だムリムリムリムリ!
完全にチキンになっている俺は、やっぱワルデビューしなくていいと舎兄に直談判。
「髪染めじゃねえぞ?」
全然目立たないじゃないか、とピアッサーを片手にニンマリニンマリ。
た、愉しんでやがるこいつ!
心中で涙を呑みつつ、俺は必死にワルにならなくてもいいや、と愛想笑いを作って一応申し出てみる。
即却下がくだった。
慈悲がねぇでやんのこいつっ!
俺、泣いちまうぞ!
性別年齢関係なしに泣いちまうぞ!
ブンブンかぶりを振る俺は、「ピアスも目立つだろ!」こんなのしたら前橋になんて言われるか、超真面目ちゃん発言をしてみる。
だから見返してやるんだろ、ほら諦めてヤっちまおうぜ、ヨウはガタブルの俺に脅しを掛けてくる。
こうなれば最後、俺とヨウの攻防戦が始まる。
無理だと嘆き、戦闘から逃げ出す俺の足首を掴んで引き戻すヨウは力づくで押さえ込んできた。
がっちり首を左腕で締めてくる。
ひ、卑怯だっ! お前の方が力あるんだから、負けるに決まってるじゃんかよ!
「ケーイ、俺に任せてワルの一歩を踏み出そうぜ。真面目なんてクソ食らえ、だろ? なあ? 煙草だって吸えちゃってるんだ。今更、ピアスに怖じてどーするよ」
ははっ、数時間前のヨウに毒づきたい。なあにが任せろ、だ。
んでもって、ははっ、数時間前の俺をど突きたい。なあんでこいつに任せてみようかな、とか思ったし!
ダラダラ千行の汗を流す俺は、「お…落ち着けってヨウ」暴力と強制は平和を生まないぞ、とジタバタ暴れてみせる。
はい無意味、ヨウの方が強い。
くそう、ンなこと分かってるんだよ、これでも舎弟してきたんだからっ、けど諦められるか!
ニヤリニヤリ笑ってる舎兄は「俺は落ち着いてるぜ」ケイが焦ってるだけだろ、軽くピアッサーをチラつかせてきた。