青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
その気分のまま、「もう半端じゃねえな」だって立派にピアスあけちまったんだし、生真面目くんは卒業だとヨウは口を開いて言葉を上塗りにした。
驚いて瞬きを繰り返す俺に、「そうだろ?」ヨウは笑声交じりに缶を傾けて夜空を仰いだ。
今日は満月だな、ああ綺麗だ、なーんて感傷的になってる舎兄。
やっぱほろ酔いみたいだ。
やけに饒舌だ。
「ケイ、もうさ。前橋に言われても平気な気がするだろ? テメェはもう半端じゃねえよ。
ははっ、ざまぁー前橋。生徒はまたヒトリ、ワルに落ちちまいました。じっみーなワルだけどな」
ふふんっと鼻で笑いヨウは、続け様、
「あいつが中途半端だっつってもよ。あれだ、俺等は半端なカンケーじゃねえっつーの。なあ? 前橋に俺等のナニ知ってるんだ。テメェもいっつまでもグズグズ気にしてるみてぇだからムカつくし。
しゃーないから、舎兄が一肌脱ごうって思ったんだ。感謝しろよ馬鹿が」
それとも、その場凌ぎの言葉でころっと価値観が変わっちまう関係か?
だったら俺、スッゲェ悔しいんだけど。
兄貴の言葉に呆気取られていた俺だったけど、「反則だろそれ!」イケメンがイケたことを言うとどうなるか、そりゃもう格好良さ増大だ。超カッケーよバカヤロウ!
次いで、「タンマ!」俺はポケットティッシュを取り出してちーんっ、洟を噛む。
格好悪い?
なんとでも言うが良い。
どうせ俺は格好悪いよ。
最初からヨウに敗北してる男だよ。
でもって俺はアッツーイ友情系に涙腺が弱いんだよ!
くっそー、反則だっつーの、その言の葉たち。
なに泣いてるんだよ、笑うヨウに、煩いと突っ返してグシャグシャにティッシュを丸める。
「半端とか思ってるわけないだろ。けど、こう見えてもちっちゃなことで気にする性格なんだよ、俺。イジイジクヨクヨしちまう調子ノリだ」
「ははっ、知ってる。だから一肌脱いでやったんだろうが」