青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
嘘だろおい、ピアス一個で空気が変わるなんてっ…、ジョーダンだって思いたい。
だってだってだーってっ、たかがちょいと耳に穴をあけてピアスをぶっ刺しただけだぜ?
正しくはぶっ刺されたんだけどさ!
ピアスをした、それだけで空気が一変も二変も変わるもんか?!
皆、大袈裟なんじゃね?!
ああくそっ、耳朶にほくろでもできたって思ってくれればいいのにな!
どんなに飲酒しようが喫煙しようがピアスしようが、俺は田山圭太そのものでい!
不良なんてベラボウチクショウと思ってるジミニャーノだって自負している!
……ま、まだ俺はジミニャーノだぞっ、ちょっと悪になっちまったけど、ジミニャーノ不良とまだ名乗れるよなっ、なあ? 愛すべき地味友達よ。
「でもなんかおかしいぞ」ふとモトが眉根を寄せて腕を組んだ。
「違和感っつーか、そういうの感じね? キヨタ」
「え? そーかな。……あ、でも言われてみればそーかも。なんだろう。ピアスはいいのに…、んー、何処が違和感なんだろう?」
え゛?
おかしい?
ピアスをしたせいでなんかおかしくなったか? ピアス以外はいつもの俺なんだけど。
もし…、おかしいと言うのならば、それはヨウに責がある。
間接的にハジメとワタルさんにも責がある。
だってヨウは無理やり俺にピアスホール作っちまうしっ、二人は助けてくれなかったし!
変と言うなら、俺は三人に責任を取ってもらわないと!
困惑してモトとキヨタを見やれば、「あ、分かった。これだ!」モトが手を叩いて颯爽と俺に歩んできた。
な、なんだよ、激警戒心抱くんだけど。ヨウが無理やりピアスをあけちまった手前、警戒心は多大なんだぞ、俺。
バッチリ身構える俺を無視し、おもむろにモトがしっかり締めている俺のネクタイを取っ払っちまう。
焦る間もなく、ネクタイを捨てたモトは次いで、その手でシャツのボタン上二つを外し始めた。