青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
無言になる俺は眉を寄せるしかない。
見る見る制服が着崩されていくんだけど、ちょ、何してくれるわけ、お前。
あーあ…、折角の制服がダラしくなくなっちゃって…、見るも残念な恰好になっていくんだけどおい。
けど構わずモトはボタンを外しつつ、言葉を重ねる。
「ケイ、あんた、折角ヨウさんに見合うような恰好の一歩を踏み出したんだ。ちょっとこうした方がいいぞ」
折角ピアスしてるのに、ビシッと制服を着こなすなんて、見てるだけで変ダルイし。
まあ、これでヨウさんに見合うかっつったら、足元にも及ばないけどな!
相変わらず顔も手腕もお粗末だし!
……まあでも、これくらいしても変じゃないと思うぞ。
寧ろ、オレはちょい真面目を卒業するケイの方がいいと思う。
「アンタ、今でもオレ達不良に一線引くところあるしな。そういうのはもうヤメちゃえよ、真面目と一緒にバイバイしたら?」
不意を突かれて俺は瞠目。
したり顔で笑うモトは、「馬鹿な悩みは解決したか?」作業の手をそのままに俺を見てくる。
「最近馬鹿っぽい悩みを抱いてたそうじゃないか。べっつ、誰から聞いたわけじゃないぞ。雰囲気で分かったんだ。
だってアンタ、分かりやすい。空気ですぐ悩んでるかどうか分かるんだ。解決してないなら仕方ないから、聞いてやってもいいし。
あ、でもアンタ、その代わりオレになんか奢れよな」
小生意気口を利くモトは完成だとばかりに腰に手を当てて、俺のダラけた身形を見るなり、よしよしと自己満足。
おおっ、歓声を上げるキヨタはこれなら変じゃないと指を鳴らした。
どうやらピアスと真面目服装はミスマッチだったらしい。
俺的には全然慣れない恰好に戸惑うばかりなんだけど、二人にはこっちの方が断然良いと太鼓判をおされた。
ンだよ、今まで服装のこと言わなかったじゃん。
どんなに地味で真面目にしていても、ダサい恰好していても、「ダサイ」「地味」「恰好悪い」って指摘するくらいだったのに。