青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―

憎々しい俺等の返答に前橋、おもむろに席を立つと俺等の前で仁王立ち。

血管を浮き上がらせている握り拳を見せ付けたと思ったら、容赦ない拳骨を食らわせてきた。
 
イッデーっ、今のは痛いっ、目から星が出そうなんだけど。

頭を擦る俺の隣で、

「体罰だろそれ!」

ヨウが非難の声を上げた。

「体罰もクソもあるか!」

さっさと書けっつてるんだよ、前橋は青筋を一本増やし、怒声を張る。

これじゃあいつまで経っても終わらんぞ、なんて口端を痙攣させている我が担任。

知るかとばかりにヨウはフンと鼻を鳴らしてそっぽ向いた。


「てか書く意味が分かんねーし。時間の無駄」


こんなのポーイだ的ノリで原稿用紙をぞんざいに床に放っちまうヨウは、まだ昼飯食ってない。腹減った。休み時間終わっちまう。

矢継ぎ早に文句垂れていた。

なんっつー態度だ。
俺には真似できない態度だぞ。


「荒川…っ、なんでお前はそう協調性がないんだ」

「はーいセンセー。きょーちょーせーってなんですか?」


俺、馬鹿だから難しい言葉の意味分かりません。

この期に及んで耳の穴に指突っ込みながら協調性の意味を聞くヨウに、怒りを通り越して呆れが出たらしい。

前橋は小さな溜息をついてこめかみを擦っていた。
俺はそんな担任に同情するほかない。
 

話をリロードし、俺とヨウは貴重な昼休みを担任の前橋と一緒に過ごしていた。んで、反省文を書かせられていた。カッコ空き教室でカッコ閉じる。

 
理由は単純。校則違反をし過ぎて生徒指導対象になっちまったからだ。

ヨウは一目でアウトだし(キンパにメッシュ、ははっ、ピアスに香水当たり前)、俺は俺でじっみーにピアスをあけちまってる(制服は着崩してねぇよ?)。

更に今朝、偶然にも前橋にチャリの二人乗りを目撃されちまって呼び出しを食らっちまったってわけだ。

 
本来二人乗りは、交通違反だもんな! 最悪罰金だもんな!


いや片隅では悪いって分かってたんだけどついつい。教師として生徒を指導しないといけないんだよな、前橋。

マジこんな生徒を持ってドンマイなんだぜ、俺が教師なら胃を悪くしそうだ。

教師にだけは絶対なりたくないって思うよ。
 

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