青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
同情しつつ、シャーペンを回して原稿用紙を眺める俺はなんて書こうかと息をつく。
こういう反省文を書くのって超苦手なんだよな。
一枚で仕上げろって言われたけど、その一枚をどうやって埋めればいいのか。
あーあ、昼休み終わっちまうぞマジで。腹減った。
「ったく」悪態をつく前橋は俺の左耳に目を向けて、これまた深い溜息をついた。
んで頭を鷲掴みにしてグーリグリ押さえ付けてくる。
い、痛い、前橋っ…痛いから!。
「田山っ、お前はなに粋がってピアスなんか始めたんだ? んー? ピアスしたいなら、高校を卒業してからにしろ。このバカタレ」
そりゃ無理やりピアスをあけられたから、とも言えず、俺はスミマセンごめんなさい申し訳ございませんのオンパレード。
とにもかくにも攻撃してくる手を止めて欲しかった。
だってマジ痛っ!
くっそう、俺にこんなことするならヨウにもしてくれよ!
俺より酷いじゃんかよっ、地味で大人しい類だからし易いってか?
なんで俺バッカ攻撃受けなきゃなんないんだよっ、そりゃ弱そうには見えるだろうけどさ!
教師なら生徒は平等公平に扱えっつーの!
「また中途半端なことしやがって」
制服は違反してないってどういうことだ、前橋の毒づきに逸早く反応したのはヨウ。
「半端じゃねえっつーの」
シャーペンを放って、俺の首に腕を絡めてきた。
「こいつは地味だけど不良で俺の舎弟なんだ。ピアスくれぇとーぜんだろ。しかもこれ、俺があけてやったんだぜ。上手いだろ」
なんの自慢だよ、ヨウ。
苦笑を零す俺に前橋はやっぱり溜息。
「お前は…、そうやって問題児を増やすのが上手いんだな荒川。まったくもって天晴れだ。おかげで俺の仕事が増えるばかり…、学年主任になんて言われるか」
「ンなの放っておきゃいいじゃねえか。お前もクソ真面目だな、前橋。真面目に勤めて、俺等を更生できるとでも思ってるのか? ジンセーそんなに甘くないぞ」
「荒川、ガキのお前になんで人生を説法されにゃならんのだ。30年早いっつーの」