青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


ご尤もですね前橋。
それにヨウ、前橋は給料貰ってるんだから真面目に働かないとクビだろクビ。

てか、更生ってっ…、そこまで言われるほど、俺、落ちぶれちゃいねえぞ!


俺の悪い点っつーたら、ピアスだろ、チャリの二人乗りだろ、それから煙草……、うん、わりと落ちぶれてるな俺。

ごめんなさい、落ちぶれちゃって。
 
 
「と に か く だ」


反省文を書き上げるまで今日は家に帰さん、前橋はヨウの捨てた原稿用紙を拾い上げると、元の場所に置いて宣言。

俺とヨウはゲンナリ顔で抗議の声を上げた。

そりゃ勘弁だぞ前橋。
俺達だって今はとある喧嘩に関わってるから忙しい身の上なのに。それに腹減った。

「大体お前等は」

鬱憤を晴らすように説教を始める前橋を尻目に、腕時計で時間を確認してみる。

昼休み終わり十分前か。
飯食う時間は無さそうだ。

前橋もチャイムが鳴るまで解放してくれなさそうだし。反省してない俺等が反省文を書いても無意味だと思うんだけど。
 

ちょいちょい、ヨウが俺のブレザーを陰で引っ張ってくる。
 

視線を流せばやたら笑みを浮かべるあくどい兄貴のお顔がそこに。


……お前、ナニ考えてるんだ?

チョー嫌な予感しかしねぇんだけど。


と、ヨウが机上に筆談。

気付かれないよう黙読した俺は思わずゲッと叫びそうになった。


マジかよ、お前やる気? ンなことすれば俺等、後でもっと酷い目に遭うぞ。後悔するんじゃねーの。筆談返しをすると、カリカリ、シャーペンが机上を走る。


『後悔? ははっ、上等。ひとりじゃねえし』


はぁーあ、ったくもう、俺はぜぇってぇ後悔するっつーの。
 

肩を竦めてやれば決まりだとヨウは口角をつり上げて、静かに椅子を引く。

俺もシャーペンを胸ポケットに仕舞い、音を立てないように椅子を引いて準備。

前橋が黒板側を見た刹那、「ダッシュ!」ヨウの掛け声と共に俺等は椅子を倒して教室を飛び出した。
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