青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「あ、お前等!」
前橋の怒声が聞こえてきたけど、知らんぷりでBダッシュ。廊下を駆け抜けた。
一階まで駆け下りた俺とヨウは、呼吸を整えながら自分達のした行為に笑声を上げる。
やっちまったな、説教は逃れられないな、それどころかシバかれるかも、なーんて会話しながらハイタッチ。
馬鹿なことはしたって思ってるし、後悔するって分かっていても、後からもっと酷い説教を食らうと知っていても、なんとなくこのスリリングな逃走は楽しかった。
「放課後が怖いな」「超ヨユーだろ」顔を見合わせてまた一笑する俺等。
「さあ俺とケイは今から昼休みだぜ。なんか食いに行くか」
ヨウが腹減ったから何か食おうぜと誘ってきた。
ということは学校を抜ける気だな。午後の授業をサボる気だな。
ったくもう、俺、弁当持ってきたのに。
しょーがない、付き合ってやるか。
幸い生徒手帳に千円札を挟んでるし、昼飯代には足りるだろ。
チャリの鍵も携帯もヨウのせいでいっつも持ち歩く羽目になってるしな。
学校を抜け出すために廊下を歩いていると、「おっ」ヨウが声を上げた。
何か見つけたのか?
…あ、向こうを歩いているのは中坊二人組! ちがった、新入生二人組!
ヨウはラッキーだとばかりに指を鳴らして、颯爽と二人の下に駆けると、背後から二人の首に腕を絡めた。
驚きの声を上げるモトとキヨタは、ヨウの顔を見てこれまた驚きの声を上げている。
そんな二人に、ヨウは「よっ」と挨拶して早速勧誘を始めた。
「よっしゃ、行くぜお前等。何処に行きてぇ? 俺はそうだな、ガッツリなんか食いたい気分だ」
……いや、キャツは勧誘どころか強引に拉致っちまうつもりらしい。
お得意の思いつき強制行動に出るヨウに、目を白黒させる二人だったけどそれなりの付き合いだから誘われてるって分かったんだろう。
誘われて超感激しているモトは喜んでついて行くと目を輝かせた。
キヨタは…、なんか控えめに笑ってるだけ。
ヨウの腕から解放されたキヨタは、ちょいと距離を置いて何処に行くかで盛り上がっているヨウとモトのやり取りを眺めている。