青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
だってそれだけ俺っちにとって兄分、大切なんっスから。
キヨタの声に感情が篭った気がした。
なんだか少しだけ素の心に触れられた気がして、俺は目を細める。
でもってすぐに視線を逸らし、「そっか」相槌を打った。
ちょいと間を置いた後、「俺さ思うんだ」自分の心の弱さを少しだけ口にすることにした。
「居場所って人を変える。楠本もそうだっただろうし、俺だってヨウの舎弟になってから変わった。
不良の見方も変わったし、話してみれば気さくで良い奴等も沢山いるんだって分かった。だから今の居場所は俺にとって大事だ」
―…だけど大事ゆえに思うことがある。此処にいていいのかって。
時々分からなくなる時があるんだ。
なんっつーのかな、俺って中途半端にワルで、中途半端に真面目だからさ。
どっかで怯えてる、半端者に居場所はあるのか。ってさ。
弱い俺の面にキヨタは真顔で答える。
「ケイさんは皆を過小評価してますよ」と。
「ケイさん、俺っちは貴方を半端者と思ったことはありませんよ。チームの皆だってそうっス」
身形でうんぬん言うんだったら、とっくに見切ってるっス。
チームから追い出してると思いますっス。
貴方が思うほど、気にしてないんっスよ皆。
俺っちは貴方の心に男を感じて、こうして弟分をしてるんっス。
ケイさん、もうちょっと皆を信じてあげたらどうっスか? そうやって一線引いて考え込むの、ケイさんの短所だと思いますっス。
「って、あ、ちょっと言い過ぎたっス。すみません」
慌てて謝罪してくるキヨタに、「なんで謝るんだ?」俺は笑って弟分の肩に手を置いた。
そうやって言ってくれると俺も助かる、頬を崩して礼を告げる。
お前に言って良かった、気分がちょい浮上したよ、と。
「悪いなキヨタ、こんな話して。俺、こう見えてちっちゃいことで気にするタイプだから。でもお前の意見、聞けて良かったよ。そうだな、もう少し、皆を信じないとな」
「ケイさん…」
「なんだよ、そんな顔するなって。そうやってズバッて言っても良いんだ。お前は俺の弟分なんだから、気ィ遣う必要もないよ」