青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
嫌ったり怒ったりするわけないだろ、頭を小突けばキヨタはこれまたたっぷり間を置いて質問をしてきた。
ケイさんはもし俺っちがヤられたり、消えちまったり、それこそ楠本のようになっちまったら、どうしてくれますか? って。
「や、その時は別に他の弟分を作ってもいいんっスけどね」
やや不安の色を瞳に宿すキヨタに俺は強く返した。
「ヤられちまったら」ヤり返すくらいの力をつける、
「消えちまったら」町中血眼になってお前を探す、
「それでも見つからなかったら」
俺は二度と弟分を作らない、そう弟分に返した。
「俺の弟分はキヨタだけだ。お前がもし、何らかの理由で消えちまって、見つからなかったら…、俺はお前の帰りを待つ。いつまでも待ってやる。絶対に他の弟分なんて作ってやんない。
―…俺はいつか、弟分を舎弟にするって決めてるんだから」
「え?」立ち止まるキヨタの前を歩いて、
「なんだってやってやるさ」
俺は振り返らず、歩みを止めず、弟分に伝えた。
もしものことがあれば、兄分として幾らでも努力するし、消えたらいつまでも弟分の帰りを待つ、と。
カッコつけて言っちまったら最後、俺はそれを実行せざるを得ない。
じゃないとカッコ悪いだろ?
くっそう、お前のせいだぞキヨタ。
こんなこと言わせやがって…、俺って調子乗りの見栄っ張りだから、カッコつけたがるんだよ。
「俺の言葉に、なんか文句あるか? キヨタ」
いつまでもついて来ない弟分に振り返り、目尻を下げる。
軽く袖で目を擦った後、「ないっス!」キヨタは満面の笑顔で俺の背中を追って来た。