青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


前もってガッツリ食いたい気分だとヨウが申告していたから、俺達は駅の中にあるファーストフード(改めハンバーガー)店に赴くことになった。

某ハンバーガー店は俺等、学生の味方だと思っている。
安く肉系や油っこい系も食えるし、千円以内でガッツリ食える。

懐の寂しい学生さんにとってはパラダイスな店だ。
お味もなかなかだしな。


通路の一角に存在している某ハンバーガー店に入った俺達は、席を陣取る組、メニューを注文する組の二手に分かれて行動。

俺とキヨタはメニューを注文する組としてカウンターに足を運んだ。ピークタイムを過ぎていたせいか、並ぶこともなくスンナリオーダーに成功。

ちょいと商品を待った後、無事に全員分を席に運ぶことが出来た。


前もってヨウ達に金を貰っていたからそれを返して、揃ってイタダキマス。

ようやく俺とヨウは昼飯にありつけることができた。


既にキヨタとモトは昼飯をすましていたから、デザートがてらにバニラシェイクとアップルパイで腹を満たしている。

俺の隣に座っているキヨタはご機嫌にアップルパイを頬張っている。
文字通り、本当にご機嫌だ。

一目で分かるくらいご機嫌なもんだから、俺は微苦笑を零しちまう。
単純な奴だな、お前も。


「なんかイイコトでもあったのか?」


ご機嫌くんのことが気になったのかヨウが質問を飛ばした。


「はいっス」


でも俺っちだけの内緒っス、キヨタは頬を崩してアップルパイをぱくり。

ははっ、内緒とは言え、誰がどー見ても、兄分関連ってことは分かるんだけどな。キヨタの性格上からして。
 

だからだろう、ヨウも追究はせず「そっか」良かったな、と一笑を零している。
 

「やっぱあれだな、弟分とかいると可愛がりたくなるよな」


突拍子もない言葉を真っ直ぐ受け止めて、「ほんとにな」俺は相槌を打つ。
 
「俺もさ。こいついねぇと」

ぜってぇ寂しいもん、ヨウは隣に座っているモトの頭に手を置いてグーリグリ。

下に兄弟がいない分、こういう奴は可愛がりたくなると心情を語った。

痛いと声を上げながらも、どことなく照れくさそうに笑っているモトは鼻の頭をカリカリ。

しきりに指で掻いて照れ隠しをしている。
 
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