青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
べっつあいつの肩を持つわけじゃねえし、やり口も受け入れ難いし、あいつを好く見るわけでもねぇけど…。
多分榊原は自分一人で敗北を持って消えようと思ったんじゃねえかな。
引っこ抜いた仲間は向こうのチームに返してさ。
自尊心(プライド)も高そうだから、敗北を背負うのは自分だけでいい…、とかカッコつけなこと、思ったのかも。
榊原は楠本を可愛がっていたらしいから、尚更奴から姿を消しちまったんだろうな。
勝利した浅倉の下にいかせようと思ったのかしれねぇ。
向こうのチームにいた方が、楠本のためだって思ったんだろうよ。
俺が榊原と同じことをしたら、迷わずモトを向こうに返すと思うぞ。ケイとも舎兄弟を切っちまって、責任くらいは取ろうって思う。
ま、これはあくまで俺の憶測にしか過ぎねぇから、榊原の本意がどうなのかは不明だけどな。
「リーダーを抜かしても榊原は楠本の舎兄だった。舎兄として、兄分として、自分の起こした行動で舎弟や弟分の敗北を背負わせるのってカッコわりぃ。
だから榊原は楠本から姿を消した。そんな気がする」
それが幸か不幸かは現状を見りゃ分かるだろうけど。
皮肉を零すヨウは複雑そうにポテトの束を口に入れていた。
俺もまた複雑な気持ちだ。
仮にヨウがそんなことをしたと仮定し、舎弟視点から立ってしてみれば、「ンな身勝手な話あーりますか!」って罵りたいところ。
だけど、俺が榊原の立場だったら…、兄分視点だと俺はどうするんだろう。
キヨタに視線を流す。ジューっとストローでシェイクを吸っている弟分と視線が合った。
……例えば、俺のせいでキヨタにまで汚名が飛びそうだったら、俺はどうするだろう?
キヨタと兄弟分を白紙にしちまうのかな。
俺の取った行動でキヨタが汚名を被せられるのはイヤだよな。
でもでもでも、キヨタの性格を考えると…、「俺っち。そんなことされたら泣くっスよ」ははっ、ですよねぇ。むっずかしいなこの問題。
「ンー、そんなことされたら、オレは…、泣くよりも先に迷わず楠本と同じになりそう」
ふっと沈黙を切り裂いたのはモト。