青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「なんとなく楠本の気持ち、オレ、分かる気がする。
だってオレもさ。もしもヨウさんが誰かにヤられて、消えちまうようなことがあれば、楠本と同じことをすると思うから。

例えばそれが間違いだとしても、間違いだと分かっていても、オレは復讐に走るよきっと。
居場所をくれた人なら尚更だ」


ジューッとシェイクをストローで吸うモトは、「例え兄分が悪いとしても」オレは兄分を追い詰めた相手を怨むと極論を出した。

他のチームに行くなんてさらさら思わないだろうなぁ、独白に近い台詞を零してアップルパイにかぶりつく。
 

「楠本って奴、問題児でチームを転々としてたんだろ?
ようやく居場所を見つけたのに…、舎兄が消えたら、そりゃ絶望するだろうなぁ。

オレもヨウさんに居場所を貰った口だから気持ちは分かるや。

あの時、弟分という名のパシリを抜け出せたのはヨウさんのおかげだし」


……、誰が誰のパシリだって?

瞠目する俺に「あれ。話してなかったか?」オレ、元々別の不良の弟分だったんだぞ、っと自分を指差すモト。

まじょで?
初耳なんだけどっ…、だってモトがヨウ以外の弟分だったとか今までの姿から見ても想像できないし。

「すべてはヨウさんのおかげなんだ。ヨウさんがいたから」

今のオレがいるんだ、恍惚に目を輝かせるモト。

またあの話が始まりそうだとウンザリ顔のキヨタを余所に、若干ヨウは居心地悪そうに引き攣り笑い。


でも俺は初耳だから聞かせてもらった。

モトがなんでヨウを慕い始めたのかを。


曰く、中学に進学したモトは不運にも小学校時代の見知り、一個上の先輩に声を掛けられ、無理やり弟分にさせられたそうな。

チョー嫌だったらしいんだけど、力的にもその先輩には逆らえず、嫌々弟分になったとか。

でもそいつ、なっかなかの酷い奴で、モトを弟分という名のパシリにばっか使ってたそうな。

ジュースを買って来させたり、コンビニでエッチ本買わされたり、命令されたり、なんだったり。
 

その内、仲間内の先輩からも顎で使われるようになり、中学の学校生活を半分以上諦め掛けていたそうな。

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